3スレ目-藤原君

アヤカ、病院探検

アヤカ

87 名前:本当にあった怖い名無し [2008/05/26(月) 00:27:00 ID:6mkYA6PZO]
クラスメートの藤原君がおかしいことに誰も突っ込まないのがいちばんおかしいと思う今日この頃、
俺は藤原君…正確には藤原君の彼女のヒロミちゃんに女の子を紹介してもらうことになった。
やっと俺にも春が来ちゃった感じがしてかなり喜んでいたのだが、女の子が恥ずかしがってるらしく藤原君とヒロミちゃんと
その女の子と俺でカラオケということになった。
ヒロミちゃんはともかく藤原君は邪魔以外の何者でもない。そんなに俺の幸せが許せないのだろうか。取りあえず俺たちは本陣駅の近くにあるカラオケに行った。
「アヤカです。よろしくね」
紹介してもらったアヤカちゃんはヒロミちゃんのクラスメートで、ガッキーみたいな清純そうな可愛い子だった。
しかも光栄なことにアヤカちゃんがヒロミちゃんに俺を紹介してくれと頼んだそうだ。幸せすぎる。
「取りあえず曲入れよか。佐倉から入れえな」
ヒロミちゃんが何故かやたら不機嫌な様子だが、俺がミスチルを歌うとアヤカちゃんは可愛く拍手してくれた。藤原君が中森明菜の曲を歌っててホラーぽくてキモかったがアヤカちゃんが可愛くて気にせずに済んだ。
そしてしばらく歌って、メシでも注文しようかってなったとき。
「ね、ヒロちゃんの彼氏さんは霊感強いんだよね?」
とアヤカちゃんが言い出した。ヒロミちゃんは相変わらず不機嫌そうにうなずくだけだった。
「ねえねえ、アヤカもねー、見えるときあるよ?女の子とか!」
「そう。なら佐倉はやめといたほうがいいんじゃない?コイツよく呼び寄せるし、腰抜けだから逃げるよ。チェリーでビビりの寄付け屋とかキモいよね」

チェリーは激しく余計な気がする。しかも藤原君のがキモいと思う。しかしアヤカちゃんは
「えー?じゃあアヤカが佐倉くん守ってあげる!まかせて!」
とまたしても可愛いことを言ってくれた。そしてアヤカちゃんがトイレに立つ。

すると、
「だあー!!もう!!あいつめっちゃくちゃうっといんやけど!!何あのキャラ!さぶイボ出るわ!」

と、ヒロミちゃんが叫び出した。あまりの態度の変わり方にビビった俺だが、藤原君もヒロミちゃんにうなずく。

88 名前:本当にあった怖い名無し sage [2008/05/26(月) 00:31:47 ID:6mkYA6PZO]
ごめん、sage忘れた。

「え、なんで?てかヒロミちゃんの友達じゃ」
「ちゃうわボケ!普段仲良くもないのに、無理矢理佐倉紹介せえて言うてきたんや!あいつ男遊び激しいしあたしは嫌やったけど、圭輔が…」
「僕が呼べって言ったんだよ。佐倉がいつまでも名前通りにサクランボじゃ可哀相だし、それに…」
藤原君がニタリと笑う。その瞬間、悲鳴が聞こえた。部屋にいたのに悲鳴が聞こえたのが今も不思議だが、直感でアヤカちゃんだと思った。
俺たちは女子トイレに走った。取りあえずヒロミちゃんが中に入る。するとすぐに俺と藤原君も呼ばれた。
「どうしたの!アヤカちゃん!?」
アヤカちゃんはガタガタ震えて座り込んでいて何も言わなかった。俺は意味がわからず周りを見渡した。

そして、それに気付いた。

「うぎゃあああ!!」

みっともない悲鳴をあげて尻餅をつく。
鏡に、女が写っていた。
ちょうどアヤカちゃんの座り込んでいる真後ろあたり。

もちろん実際には何もいない。鏡にだけ写っている女。
真っ白な腕に、黒髪。ひび割れたような肌に、貞子みたいにひどくうなだれて。

「な、な、何あれ」

ゆっくりゆっくり、鏡の中の女が顔を上げようとした。

そのとき、

「あはははははははははははははははははははははははひゃはははははははははははははははは!」

アヤカちゃんが笑い出した。

89 名前:本当にあった怖い名無し sage [2008/05/26(月) 00:33:02 ID:6mkYA6PZO]
気持ち悪い、アヤカちゃんとは思えない笑い方だった。
そしてその場に嘔吐してアヤカちゃんは意識を失った。女はもう写っていない。

「真っ逆さーまーに…墜ちてdesire…」

藤原君がさも楽しそうに小さな声で歌っていた。こんなときに、そんな歌うたうとか神経疑う。俺は腰が抜けて立てないまま、藤原君を見た。

「残念だったね佐倉。女が見えるのはホントみたいだけど、守ってあげるってのは嘘みたいだよ」

藤原君はクスクス笑った。ヒロミちゃんはアヤカちゃんをビンタして無理矢理起こすと、顔を表せて駅まで送りに行った。
俺はもうなんの気力も無く、藤原君と部屋に戻ろうとした。
すると藤原君が

「ああ佐倉、女子トイレのドア閉めた?」
と声を掛けて来た。ああ、どうだったかなと俺は振り向く。
するとそこには、

さ っ き の 女 が 、 立 っ て い た 。


その後のことはよく覚えていない。俺は無我夢中で走ってカラオケを出て、家に帰った。アヤカちゃんともそれっきりだ。
藤原君と付き合っている限り、幸せにはなれない気がした。



病院探検

196 名前:本当にあった怖い名無し [2008/06/06(金) 15:54:50 ID:XlJEcnMKO]
クラスメートの藤原君は常におかしい。
そんな彼と、昨日病院に行ってきた。ヒロミちゃんが怪我で入院していたのでお見舞いに行ったのだ。
決して藤原君がおかしいから精神病院に言ったわけではない。
学校が終わってから行ってきたので、面会時間ギリギリだった。俺らは他愛ない話をし、来週には退院するというヒロミちゃんに安堵しながら帰ろうとした。
そのとき。
「ねえ佐倉、せっかくだから探検しよう」
と、藤原君があり得ないことを抜かしてきた。もちろん俺は断固拒否した。すると珍しく藤原君は引き下がり、
「なら僕だけで行ってくるよ。ヒロと浮気すんなよ?」
と、さっさと病室を出て行った。意外な展開に拍子抜けしたが、有り難いことこの上なかったので俺はお菓子を食べながら藤原君の帰りを待っていた。
しかしいつまでも藤原君は帰って来ない。面会時間ももう終わるし、だいぶ心配になってきた。
そこで、優しい俺は藤原君を探しに恐る恐る夜の病院を歩き回ることにした。

「ふーじわーらー出てこーい」
小さな声で廊下でさりげなく藤原君を呼ぶが、やはり藤原君はいない。真ん中まで進んだあたりで行き止まりになり、仕方なく俺は仕方なく引き返そうとした、が。

「誰か探してるの?」

と後ろから声を掛けられた。振り返ると、看護婦さんがいた。
「はい、友達が迷子になったみた」
そこまで言って、おかしいと思った。
俺の後ろは行き止まり。もちろん誰ともすれ違ってないし、ドアもない。じゃあこのひと、
ど っ か ら 来 た ん だ
途端に怖くなって俺はダッシュした。後ろから走る足音が聞こえる。

「廊ー下は走らーないでねー!」

声も聞こえる。追いかけてきている。怖くなって無我夢中で走った。
そのとき。

197 名前:本当にあった怖い名無し [2008/06/06(金) 15:57:09 ID:XlJEcnMKO]

「何やってんの貴様」
藤原君が現われた。人の心配をよそにケロリとした様子だった。
「かかかかか看護婦があああ」
半泣きで説明するが、藤原君は相手にもしてくれず、
「あのさあ。人のことどうこう言ったり余計な世話焼く前に、その甘ったれた根性なんとかしろよ君は。」
とあきれたように言われた。藤原君が心配だからじゃん!と頭に来て言い返すが、
「ホント頭悪いね。君が何もしなくても僕は僕で好きにやってんだから、余計なお世話だよ」
と言われた。そりゃそうだ、と思った。仕方なく俺は藤原君と病室に戻る。
すると、
「あ、もう面会終わりやってよ」とヒロミちゃんに言われた。ヒロミちゃんの横には
さ っ き の 看 護 婦 さ ん が い た 。
ゆっくりゆっくり、看護婦さんが振り返る。
藤原君を放置して俺がダッシュで帰宅したのは言うまでもない。




  • 最終更新:2009-12-06 13:05:49

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